特集ワイドでは、「海」を取り上げていました。その中に次のような記述がありました。
『臨海学校の教育効果を研究する湊川短大(兵庫県三田市)の矢野正講師(臨床教育学)は「海の営みには体に響くものがたくさんあります。はねる魚や潮のにおいに海流。朝夕の潮の満ち引きの差に触れるだけで『地球ってすごい』と思うでしょう。きれい、おもしろいと感じる心をはぐくんだ経験は大人になっても生きてきます」』という部分です。
そのとおりでしょう。でも、教委にいると、こうした専門家の提言は、困った面もあるのです。もし、矢野氏の発言を基に議会で「臨海学校には、今の子供に欠けているものを育むこんな利点がある。教委として、臨海学校を再開するべきではないか」というような質問がされたとしましょう。矢野氏の見解は正論ですし、数少ない専門家の発言という重みもあります。私自身同意したい気持ちもあります。一方で、予算や校内体制、事故発生時の対応など、難しい問題もあります。しかし、教育という分野では、「理想>現実」という雰囲気が強く、そうした現実的な理由では納得を得ることが難しいのです。
さらに、臨海学校と林間学校の教育上の効果というようなことは数値化して優劣を決めることができるものではありません。ですから、「本市では林間学校を実施しているので臨海学校の実施は考えない」というような言い方では、説得することが難しいのです。
教委に勤務していたとき、毎日できるだけ多くの情報に接し、たとえそれが教育に直接関係のある記事ではなくても、その時に問題になっていることとは関係がなくても、きちんと整理しておくことが日課となっていました。矢野氏の発言に注意が向いたのもその頃の修正です。矢野氏の発言で、秋の議会では、いくつかの自治体で臨海学校が話題になることでしょう。指導主事はこんなことの繰り返しで力を付けていくのです。

